手書き文字の印象
デジタル文字の特徴は、画一的で個性がなく、もともとデジタルメディアが冷たいという性質を持っていました。
対して手書きの文字はどのような特徴をもっているのでしょうか。
手書きは人によって字の性質が違ってきますので、書く人によって与える印象は違います。
綺麗な字は人を感動させますし、汚い字は人を不快に思わせることがあります。
一概に手書きは○○とは決めにくいので、デジタルと比較した手書きのメディアの観点から見てましょう。
人がメディアになる
メディアというと、テレビ、ラジオ、新聞、インターネットなどが真っ先に思い浮かび、人がメディアと言われてもあまり腑に落ちないかもしれません。
メディアは情報を伝える手段なので、人は人に対して直接情報を伝えることはもちろんできますので、人もメディアには含まれます。
ただ、それが当たり前すぎたことなので、わざわざ人をメディアと捉えて考える人はいませんでした。
しかし、インターネットが台頭してから広く普及されてきた今では、デジタルとアナログの区別も大きくなり、人々の意識も少しずつ変化してきています。
そして、人がメディアとして見られる大きな要因になった一つ、手書きがあります。
手書きは人の心を動かす
デジタルでも表現できるのに、あえて手書きを使うものがあります。
それは、チラシ、POP,ポスター、ネット上のお客様の声といった広告の類です。
特に手書きチラシや手書きPOPは、各地でセミナーや講演会が開かれるほど注目されており、多くの企業が手書きの広告を採用しています。
美容院、サロン、コンビニ、書店、飲食店、DVDショップなど様々な業種で手書きの広告は使われていますので、みなさんも一度は目にしたことがあるかと思います。
しかし、時間や手間を考えればデジタルの方が圧倒的に効率も良いのに、何故わざわざ手書きを使う企業が多いのでしょうか。
それは、手書きには人の目を惹きつけて心を動かす力があるからです。
広告の目的は、関心を集めて商品を売ることが役目なので、目を惹きつけて(関心を集めて)心を動かす(商品を買いたいと思わせる)手書きの広告はまさに打ってつけなのです。
手書きとデジタルの文字でどうして人の心に差が出てしまうのでしょうか。
手書きにはよく温かみがあると言われることがあります。
手書きは人によって癖が違うので風情や個性が見られ人間味があるので、温かいと感じられやすいです。
それでは、昔からこの"温かみ"は感じられたのでしょうか。
私は昔から"温かみ"は存在していたが、昔と今では感じる"温かさ"には大きな差があったと思います。
その大きな差を生んだのは、デジタル文字の存在です。
インターネットが普及されてからは、画一的で無個性な文字が溢れかえり、ほとんど毎日私たちはデジタル文字に触れています。
今このサイトを見てくれている人も、このデジタル文字を当然のように読んでいますよね。
手書きしかなかった時代は、手書きがありふれたものだったので、手書きに対しての人々は特別意識することはありませんでした。
しかし、ネットの登場でデジタル文字を使用する頻度が急激に増えたことで、昔は当たり前だった手書きがどんどん使われなくなってきています。
使われる頻度が少なくなった手書きは、やがて珍しいものと感じるようになり、以前よりも人々の目に留まりやすくなっています。
マーケティングの世界では「希少性の原則」というものが存在しますが、これは人は珍しいと思うものをありがたく感じる傾向があるというものです。
見る機会が少なくなり珍しくなった手書きにも、希少性の原則は当てはまりますので、広告の販促活動にも有効であるとされ使われるようになりました。
デジタル文字が登場したことで、手書きの文字に「珍しくありがたいもの=温かい」という価値が生まれたのです。
デジタル文字が普及されればされるほど、手書きの価値は相対的に上がりますので、これからますます手書きは有効なものへと変わっていくでしょう。